こんにちは!めばえです😊
“救急医療週間”第4弾!
〈救急車で搬送されるとき、救急隊がどのような基準で搬送する病院を決めているのか〉
について、説明していきたいと思います。
救急隊には、
救急要請を受けた現場へ駆けつけ、傷病者の状態を観察、判断、そして救急処置を行い、病院へ搬送するという一連の動きがありますが、
救急隊の主な仕事として、“病院選定”というものがあります。
もしも、自分が、家族が、友人が、救急車で病院に搬送されることになったとしましょう。
搬送される私たち(傷病者)が、行きたい病院を決めて、病院に行けるわけではありません。
今いる場所から近い、ということだけでなく、
救急隊が、その人の状態を把握し、緊急度や重症度に基づき、搬送する病院を選定します。
病院の区分ってあるの?
救急医療体制という難しい言葉ですが、対応する病院は緊急度や重症度によって、次のように区分されます。
1次救急
入院や手術の必要がなく、診察や応急処置のあと、自宅へ帰宅できるぐらいの比較的軽症の患者に対応
例:かかりつけ医(クリニックなど)、休日夜間急患センター、在宅当番医
2次救急
1次救急では対応できない、入院や手術を必要とする患者に対応
例:救急指定病院
3次救急
1次/2次救急では対応ができない生命に関わる重症患者を24時間体制で対応
例:救命救急センター、高度救命救急センター
対応する診療科は?
救急隊は、以上のような病院の区分によって、搬送する病院を選定しますが、その他にも、
“この傷病者がどのような状態で、どの診療科での対応が適切か”ということも考える必要があります。
例えば、
足の骨を骨折しているかもしれない傷病者に対しては、整形外科の医師が対応できる病院
手足の麻痺や呂律困難がみられる脳卒中疑いの傷病者に対しては、脳神経外科の医師が対応できる病院
糖尿病の持病があり、低血糖が疑われる傷病者に対しては、内科の医師が対応できる病院
というふうに、
どこのどんな病院に搬送するのか、救急隊の方々は、観察、判断、処置を行いながら、搬送を行ってくれているのですね。
救急隊には幅広い救急の知識と経験が必要だということが、分かります。
また“病院群輪番制”という制度があり、
『今日の整形外科の受け入れができるのはこの病院』というような当番表があるので、それを病院選定の参考にしていることもありますよ。
病院群輪番制
救急車により、直接搬送されてくる、またはかかりつけ医の診療所などの初期(1次)救急病院からの転院搬送されてくる中等~重症救急患者に対応するための整備をしている制度があります。
各市や郡単位の地域ごとに、休日や夜間に対応できる病院が日を決めて順番に担当する輪番制で対応します。
救急車に乗ってから搬送まで
救急車に乗ってから、すぐに病院に搬送されるわけではありません。
救急隊の判断によって、病院が選定されたら、その病院に連絡をして、受け入れ可能かどうかを確認します。
・年齢
・性別
・患者の状態(バイタルサイン、意識状態、外傷の有無、妊娠の有無など)
・既往歴(持病)や、服薬歴の有無
病院に、これらの情報共有を行い、病院がすぐに対応できると判断した後、受け入れ可能と判断されれば、搬送開始となります。
病院が搬送の受け入れを断ることはあるの?
救急隊が搬送したい病院に連絡を入れたとき、病院側が以下の理由で受け入れを断るケースがあります。
・対応できる医師が不在
・入院ができるベッドに空きがない
・他の救急患者の処置をしているために、受け入れ体制が整わない(もしくは受け入れてもすぐに処置などの対応ができない)
救急車で搬送される時に気をつけることは?
病院に到着してから、病院関係者からの聞き取りがあったり、処置が施されている間は、基本的に病院から離れることはできません。以下のことに注意しましょう。
・貴重品(お金など)や健康保険証
・何か薬を飲んでいる場合は、どんな薬を飲んでいるかが分かるお薬手帳や薬の説明書など
・家の戸締りや火の元の確認
・救急車に同乗できるのは、搬送される傷病者も含めて1~2名です。(救急隊の救急処置の妨げにもなりかねないので、大勢は乗れません)自車を使って搬送先の病院まで向かうようにしましょう。
・自車で病院に向かうとき、サイレンを鳴らして緊急走行する救急車の後を追って、同じように走行することはできません。交通ルールに従って安全に病院に向かうようにしましょう。
普段から、病院に受診するときの持ち物セットなどを準備しておくと、もしものときも慌てずにすみますね!
まとめ
私は病院で、救急救命士として、救急患者の受け入れ対応をしていますが、救急隊の方々からの正確な情報共有によって、患者さんの状態の変化などに迅速に対応できることがあります。また、病院から病院への転院搬送の時も救急車を利用することがありますので、救急隊の方々の動きをいつも見せていただき、患者さんに寄り添い安心・安全に救急搬送業務を行っていること、大変だけどすごいな・・・と思っています。
みなさんが、今後、もし救急隊のお世話になるときは、自分(または家族)の状態をしっかり把握して、病院選定をしてくれますので、搬送業務については安心してお任せしましょう。
決して、自分都合で行先を指定したり、行きたくない病院だからと、救急隊の方々にクレームを言ったり困らせたりしないでくださいね。
救急隊員の方々、いつも市民のためにご苦労様です!!!
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